2003/03/06
戦場のピアニスト
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戦争映画スキーとして見たほうが良さそうと思って見に行ったんですが、いろいろ圧倒される映画でした。感動して泣いてしまう、みたいな今の宣伝は、客の足を運ばせるという意味では正しいけど、これだとだまされた、とか言う人が多そうです。いろいろネタバレで感想を書きましたが、この映画はストーリー展開で見るものではないです。主人公が生き残るのがわかっているからつまらないとか、最後になんか大逆転があるんでしょ?とか言うような人は見てはいけません。
全編、ほぼ主人公の主観視点で描かれており、それによって感情移入度が高くなっています。主人公がわからないことは観客にもわからないのですが、人によってはそれが不満になりそう。惜しむらくは、ポーランド人が英語でしゃべっているということ。ドイツ人はドイツ語でしゃべるんですが、世界マーケットを意識すると、英語で作らざるえないんでしょうね。
主人公がゲットーにいる前半は圧巻でした。映画的に盛り上がる描写はなく、淡々と悲劇が描かれていきます。ポーランドのユダヤ人のゲットーというのは知識として知ってたけど、こうやって映像として見せられると圧倒されます。収容所送りの列車が出た後の人のいないゲットーなんか特に。
ゲットーから逃亡した後半では、主人公の戦争への傍観者ぶりが徹底されていきます。特に隠れ家の窓から見る俯瞰の視点で描かれる戦闘シーンは秀逸。俯瞰タイプのリアルタイムSLGの戦闘シーンみたいで、神の視点なのかなーと思ったり。原作は読んでないんですが、この隠れ家が1Fだったら、戦闘に迫力が出てしまって、傍観者っぷりが出なかったことでしょう。こういう上手い演出は各所にあって、廃墟のピアノを弾くシーンも、体力のない人間がピアノを弾けるの?とか逃亡生活で爪が伸びたままでは?とか廃墟の調製されてないピアノの音が出るの?(原作によると、実際まともな音は出なかったとか)みたいな疑問も出るでしょうが、それよりも映像と音の力業で見せてくれます。他のシーンが徹底して映画的盛り上がりを避けていだけに、このシーンの映画的盛り上がりは印象的です。
この映画はセリフが少ないため、セリフの微妙なニュアンスからいろいろ汲み取ったほうがいいんですが、字幕だとその辺が伝わりにくいようです。特にドイツ軍将校と出会うシーンは微妙で、ドイツ軍将校が「お前(Du)は誰だ?」と聞くんですが、実際にはもっと丁寧なニュアンス(Sie)で話しかけているし、「私はピアニストです」という主人公の答えも、実際には過去形。その辺は今後出るであろうDVDの吹き替え版がニュアンスを伝えてくれることを期待します。
監督のロマン・ポランスキーは、ポーランド系ユダヤ人で、第二次世界大戦中、両親は収容所に送られ、本人はポーランドのカトリック系家庭を転々としていたそうです。ゲットーの描写のリアルさに納得。ロマン・ポランスキーWorksを見ればわかるように、この人は波瀾万丈な人生を送っているんですが、そんな人だからこそ「人生の波乱なんてものに、ぼくは価値を求めないね」と言えるんでしょうね。
ラスト、シュピルマンはドイツ人将校を見殺しにしたかのように見えますが、実際には探したそうです。その辺りを最後のテロップで説明しなかったのは、監督の意図なんでしょうか。
主人公はほとんど何もしないのに、映像技術だけで2時間半も退屈せずに見られるのはスゴイです。ただ映画に対してストーリーによる感動を求める人には退屈でしょうね。
なおビデオで見る人もいるでしょうが、ロングの画面が多用されているし、画面の情報量が多いので、14インチ程度のテレビで見ると見落とすものが結構多いと思います。なので、ある程度大きな画面で見るのをお勧め。あと空腹にした上、寒いところで見ると最強です。主人公にばっちり感情移入できます。
『シン・レッド・ライン』を比較に挙げている人がいたんですが、確かにこの映画に近い感覚です。個人的にはあの映画をビデオで見て退屈に感じちゃったんですが、映画館で見るとまた違ったのかも。
これを見てから、TV Bros.の持永昌也氏のコラムを読むと、お前映画見たんかい!と確かに突っ込みたくなりますね。皮肉として成立してないのがよくわかりました。
ちなみに2chでこんなスレができてました。吉野家コピペなみに流行るのか?
「絶滅させておけばよかった」のガイドライン
おまけ:Walkerplus 映画掲示板 トホホな感想があったのでリンク。
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