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2003/02/20

box キャラクター小説の誕生に関するメモ

 『キャラクター小説の作り方』を読んで、キャラクター小説といわれるものがどうやって生まれたのかが気になり、ちょっと調査。ネット上の情報だけではありますが。

1972 『幻魔大戦』平井和正
1975 ソノラマ文庫創刊
1976 コバルト文庫創刊
1977 新井素子、奇想天外新人賞に佳作入選する
    ソノラマ文庫『クラッシャー・ジョウ』高千穂遥デビュー作 イラスト:安彦良和
1979 ハヤカワ『グインサーガ』栗本薫 イラスト:加藤直之
    ソノラマ文庫『機動戦士ガンダム』富野喜幸 イラスト:安彦良和
    SFアドベンチャー創刊
1982 徳間ノベル『銀英伝』田中芳樹2作目
    ソノラマ文庫『魔界都市新宿』菊池秀行デビュー作
    ソノラマ文庫『幻獣少年キマイラ』夢枕漠 イラスト:天野喜孝
1984 角川ノベル『宇宙皇子』藤川佳介
    角川ノベル『リーンの翼』富野由悠季

・大塚英志は、現実を文章で写生するのではなく、アニメや漫画の世界を文章で写生して、アニメや漫画のような気持ちよさを読者に感じさせる小説がキャラクター小説であると定義している。この理論はわかりやすいのだが、そのような小説を最初に意識的に書いたのが新井素子という説には疑問がある。
・本人も注釈で触れているが、年代を考えると元祖は平井和正だろう。平井和正はSFマガジンでデビューしたあと、『8マン』の漫画原作、アニメ版のシナリオライターチーフを経験しており、そのため、小説家の中でもビジュアルを意識するようになったのではないかと推測できる。
・新井素子の位置づけは、アニメ、漫画の受け手として育ってきた世代が小説家として生まれてきた象徴だろう。SF小説という作り事をかっちり作る世界の中に、作者の自意識を持ち込んだ小説家だったのではないか。新井素子の前の流れは庄司薫などになると思うが、違う話になるのでここでは置いておく。また、男性に新井素子ファンが多かったことから、男の子文化に女の子文化が輸入された流れでも考えることができるだろう。
・眉村卓や光瀬龍などのジュブナイル小説とライトノベル小説は同じ流れにあるが、映像化の媒体に違いがある。ジュブナイル小説は実写ドラマ化されたが、ライトノベルは大体アニメ化される。小説を読んだ時に思い浮かぶビジュアルがアニメや漫画絵なのがライトノベルではないか。
・それでは小説のイラストに意識してアニメや漫画絵を選んだのは誰か? 調べた限り、高千穂遥が初と思われる。高千穂遥は大学時代にスタジオぬえを作り、アニメの仕事に関わっていたため、小説の世界にアニメの文法を持ち込むことができたのであろう。
・初期ライトノベルの発展を考える時、ソノラマ文庫とコバルト文庫の研究が重要。
・ソノラマ文庫は最初に『宇宙戦艦ヤマト』のノベライズが出ている。しかし、その後は他社や自社の過去のSFやミステリーを文庫として再版しており、書き下ろしはなかった。また学年誌の連載をまとめたものが多いので、学年誌の存在は重要そうなのだが、今回の調査ではわかりやすい影響はなかった。
・その後、辻真先のヒットにより、書き下ろし作品が増える。辻真先はNHK時代に実写ドラマの脚本を書き、フリーになったあとは主にアニメの脚本を書いていた。個別作品としての影響を挙げるのは難しいのだが、大量の作品群がある訳で研究の余地はあると思われる。
・現在のライトノベルに直接繋がってくるものは高千穂遥『クラッシャー・ジョウ』と富野喜幸『機動戦士ガンダム』といえる。
参考資料:ソノラマ文庫 初期170冊 1977年に『死者の学園祭』で赤川次郎がデビュー。
・『宇宙皇子』『リーンの翼』は角川書店がジュニア向け小説を展開するきっかけになった。
・こうしてまとめてみると、アニメ業界の仕事をした人間が小説の世界に入ってくることによってライトノベル的なものが増えてきたと考えられる。

●関連サイト
読売新聞の1995年の「ヤングアダルト文庫」に関する記事 ここでもソノラマ文庫、コバルト文庫を起点としている。
ジュニア文庫博物館 早見裕司氏による歴史資料。
『現代用語の基礎知識』における「ヤングアダルト」 「ヤングアダルト」はもともとアメリカの出版界の言葉だった。1979年に「YA出版会」が結成されたという記述があるが、どの辺の出版社が参加したのか気になるところ。
縁側幻想譚〜SunnyPlace〜 ★ライトノベル書庫★ 作家別の著書リストが便利。
SF ONLINE 特集:ジュヴナイルSFの冒険
(敬称略)

投稿者 : 加野瀬 投稿日 : 2003/02/20 22:09  | TrackBack (0)  |  [書籍] , [注目記事]
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Comments
投稿者 : 青木摩周 投稿日 : 2003/02/21 02:15

栗本薫のデビュー作は「ぼくらの時代」だったと思います。

投稿者 : 加野瀬 投稿日 : 2003/02/21 02:43

ネットの著書リストのトップがグインだったのでデビュー作だと勘違いしてました…。ご指摘どうもです。
あと『クラッシャー・ジョウ』のタイトル名を間違えていたので訂正。

投稿者 : 原 投稿日 : 2003/02/24 23:00

豊田有恒の「宇宙戦艦ヤマト」は、ハードカバー版の文庫化ですので、書き下ろしではありません。

投稿者 : 加野瀬 投稿日 : 2003/02/24 23:52

情報どうもです。
最初の『宇宙戦艦ヤマト』のノベライズは石津嵐著、豊田有恒原案なんですね。
http://db.leiji.jp/others/y210000.html
http://yamato.channel.or.jp/yamato/23.html
テレビシリーズ放映中に出ていたようで。

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