オタク定点観測 2000/02
[第20回]−Photoshopだと文字は綺麗に印刷できませんよ

 皆さん、絵に大量の文字を入れる時、Photoshopを使ってマセンカー? Photoshopで文字はキレイに出力デキマセーン。
 なぜPhotosohpで文字を扱わない方がいいか? その説明の前に、まず画像データには大きくわけて、2種類あることを理解して欲しい。
[ビットマップデータ]
 PhotoshopやPainterなどペイント系グラフィックソフトで扱うデータ。一つ一つの画素(ピクセル)がRGBやCMYKのカラー情報を持っており、それが集合することによって構成される画像データがビットマップデータなのだ。このピクセルが多ければ多いほど、情報量が多い画像となり、印刷に適したデータとなる。
[ベクターデータ]
 Illustratorが代表的なドロー系グラフィックソフトで扱うデータ。『カラフルPUREGIRL』の表紙もIllustratorで作られている。このデータ形式の特徴は円や四角、線などの図形や文字をオブジェクトとして扱うこと。各図形の頂点座標情報、面の描画情報は、オブジェクトを描く計算式に変換されて、データに記録されている。ベクターデータは、ビットマップデータのように細かい部分までは描画できないが、拡大・縮小をしても、スムーズさが失われないという利点を持つ。Postscriptというのは、このビットマップデータとベクターデータを統合的に扱うためのデータ形式である。

 ビットマップデータで文字を扱うといろいろ不都合が発生する。普通、カラーの印刷に扱われるビットマップデータは300〜350dpiであるが、300dpi程度の解像度だと、コントラストの強い部分ではジャギが出やすい。文字というのは可読性を高くするために黒だったりとコントラストが強いから、当然ジャギが目立ってしまう。
 モノクロならばデータサイズが小さいので600dpi程度のデータも扱えるが、グレースケールデータをそのままプリンターやイメージセッター(印刷用のフィルムを出力する機械)で出すと自動的にハーフトーン処理で二値化されてしまう。ハーフトーンというのはスクリーントーンのような網点で階長を表現する技術だ。グラデーションなどの階長を表現する時には最適だが、文字のように階長のない(=コントラストが強い)と、白と黒部分の間にヒゲのようなもの(網点)ができて、ぼやけた感じになってしまう。余談だが、これを避けるためには、Photoshopを使ってグレースケールデータを出力用の二値データを作るのがいい。300dpiのグレースケールデータでも、出力解像度を600dpiにして、絵の部分を「ハーフトーン」で、文字部分を「50%を基準に2階長にわける」で二値化すれば、それなりに綺麗に出力できるデータとなる。
 また、Photoshopは5.0になってから文字関係の処理が強化されたが、所詮ビットマップデータ処理ソフト。文字間の調整の処理などドロー系ソフトに比べれば、貧弱さが目立つ。
 以上のようにPhotoshopと文字は相性が悪いのだ。文字を綺麗に出力したいのなら、ドロー系ソフトを使うのがベスト。ベクターデータなら出力環境によって解像度は最適化される。たとえば600dpiのレーザープリンタに出せば600dpiで、2400dpiのイメージセッタに出せば2400dpiとなるのだ。また、ドロー系ソフトなら凝ったデザインも作りやすい。「更にソフトを買わないといけないの?」と思う人もいるだろうが、商業誌と同じクオリティのものが個人でも作れる時代になってきたのだし、美しさにこだわるのなら、ソフトを買って活用して欲しいところだ。

掲載=カラフルPUREGIRL 2000年2月号(ビブロス刊)

■コメント
 ベクターデータとビットマップデータの違いはよくわからない人はいまだにわかってなさそう。
[Profile]
あび子あび夫先生、連載お疲れさまでした。『イントロンデポ2』は士郎正宗氏が自らPhotoshop5.0で文字入れをしていたため、美しくない文字組になっていたのは残念でした。自信がないのならその辺はプロに任せるべきではないでしょうか。
HOME INDEX  PREV NEXT