オタク定点観測 2000/01
[第19回]−印刷に使うCGは350dpiないとダメなの?

 CGを同人誌や商業誌に使ったことがある人なら、一度は解像度という言葉を聞いたことがあるだろう。
 これからの説明は、解像度の概念のわからない人間に説明する時に、理念的にわかりやすくするために自分が言ってきたことで、正確な説明とは少々違う。ただ、こう考えたほうが解像度という概念はわかりやすいのでは?と思い、説明する次第である。
 よく「印刷用には350dpiあれば充分」といわれる。この数字は175線という線数から導き出されている。線数とは印刷の表現力である。よく漫画で使われるスクリーントーン61版は60線の10%の網点が印刷されている。これは1インチの中に60個の点があり、黒の割合が10%あることを示している。175線というのは、1インチの中に175の点があるということだ。これの2倍の情報量・解像度があれば、綺麗に印刷されるとされている。ところが、この「2倍」という数字には諸説があり、理論的な説明はない。なので、印刷用データは何が何でも350dpiが必要という訳ではない。「350dpiあれば印刷に使える」この350dpi神話が解像度をわかりにくくしているのではないだろうか。そこで、
・解像度は、データをどのぐらいの大きさで出力するかを決める数値である。データの表現力は解像度ではなく、総ピクセル数で決まる。
 と考えてみて欲しい。ビットマップデータとは、あくまでピクセルの集合体なのだから、ピクセルを基本に考えるべきだと思うのだが、Photoshopの普及後、誰も彼もが解像度で考えるようになってしまった。そこに弊害があると思い、このような定義を考えてみた。
 たとえば、350dpiのデータであっても、総ピクセル数が小さいもの、たとえば640×480ピクセルでは、大きなサイズでは出力できない。逆に72dpiであっても総ピクセル数が多ければ印刷に使えるのだ。
 経験でいうと、カラーの場合、250dpi以上あればまず問題はない。主線のはっきりしない絵柄なら200dpiでも、言われないとわからないことだろう。PUREGIRLでは250dpiと350dpiの間をとって、300dpiを推奨している。解像度が高ければ高いほど綺麗になるだろうと思って、カラー600dpiのデータを要求する編集者もいると聞くが、極端に解像度の高い画像は、網点が欠けるため、かえって綺麗に印刷できない。モノクロの場合は、最低600dpiの二値化したデータが欲しい。300dpiのグレースケールでも600dpiで二値化すればよい。
 解像度が高くないと印刷に使えないという思い込みから、72dpiの2000×1000ピクセルの画像に対して「解像度が低すぎて印刷に使えないから350dpiにしてくれ」という文句を言う人がいるそうだ。今までの説明を理解すれば、この発言のおかしさが理解できるハズ。この場合、画像サイズを変えずに(「画像の再サンプル」のチェックボックスをOFFにする)、解像度をあげてやればいい。そうすれば、印刷に耐えるデータになる。
 最近、同人誌業界でも、かなりDTPが普及してきたため、ネットの掲示板などでDTPに関する質問をよく見かける。その質問は、DTP専門書を読めば、わかることばかりなのだが、専門書はやはり難しい。かといって、最近多い同人誌のDTP本では肝心なことまで書いてなくて、結局よくわからないということがある。そろそろ、中間層を汲み取る本が出てきて欲しいものだが……。
※厳密にいうと、画像解像度(ppi)と印刷解像度(dpi)は区別して扱わなければいけないのだが、ここでは同じものとして扱った。

掲載=カラフルPUREGIRL 2000年1月号(ビブロス刊)

■コメント
 当時「絶対350dpiないとダメ!」とかいう困ったちゃんが多かったです。
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今回から、しばらくこんな技術知識ネタでいく予定です。CGなどをやっている人なら、DTP関係の知識は憶えておいて損はないですよ。Martin李さんに技術チェックしてもらいました。ありがとです。冬コミはZ-8aで同人DTP本の再販をします。新刊はナゾ。
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