オタク定点観測 1999/11
[第17回]−欲しいものが、ない

 オタクというのは、物をバカバカ買う。趣味雑誌、漫画雑誌、漫画の単行本、画集、同人誌、ゲーム、LD、DVD、プラモデル、フィギュア、AV機器、パソコンのパーツ類、テレカ、トレカ……。
 そして、物を買うために、労力を費やすことを厭わない。欲しい同人誌のためにコミケに行く。新作ゲームが一早く欲しいがために、朝早くからゲームショップに並ぶ。
 最初は、当然「欲しいから買う」であった。しかし、いつしか買ったのに、読まない雑誌・本、プレイしないゲーム、作らないプラモデル、見ないLD/DVDなどがたまっていく。買い物ではないが、テレビアニメを録画しっぱなしのビデオもこの類だろう。見てないLD BOXを全部見るとしたら、果たして何時間必要になるか、数えるのが恐ろしい人もいるに違いない。でも、見てなかったり、遊んだりしてないものがたくさんあったりするのに、ついつい新しい物を買ってしまう。いや、今買わないと買えなくなっちゃうかもしれないし…。
 溜め込みクセはまだいい。しかし、自分が欲しい訳ではないが、仲間内の話題に遅れたくないために買う、という症状に進んだりする。コミュニティに参加するためにアイテムを購入する訳だ。
 携帯ゲームマシン向けのゲームでは、そういうものが実に多い。『ポケットモンスター』『ドラクエモンスターズ』『どこでもいっしょ』などは、一人でもやってもあまり面白くないが、多人数でやると、面白さを発揮する。他人同士が楽しく遊んでいるのを見ると、自分も仲間に入るために欲しくなるという人間の弱い心理を突く戦略は、商品として正しい。
 携帯ゲームの話なら微笑ましいものだが、こんな購買行動が他の領域でも通常になると、こんな行動を続けていくことにふと疲れたり、疑問を感じてしまうことが多くなるだろう。「何で、自分は欲しい訳でもない物をみんなに合わせて買っているんだ?」 そんな疑問を抱いてしまうようになってしまう。
 従来、オタクというのは若い人間のやる事だと思われていたが、最初にオタクと呼ばれた世代はいまや40代だ。オタクは、ヤンキーのように一過性のものではない。ヤンキーとオタクは似た属性を持ってはいるが、これはまた別の機会に。一度オタクになったら、このまま年を取っていくのだから、オタクという生き方に、一生付き合って行かなければならないのだ。だから、こういう疑問を抱いた時の解決策を持つべきだろう。
 自分の場合、「自分が楽しくないと思ったら、やらない」と単純明快に考えている。仲間の話に入れないのがイヤという人もいるだろうけど、少しぐらいわからない話題があったっていいじゃないか。仲間はずれを怖れるあまり、自分のポリシーを曲げてしまうのは、心に不健康だろう。
 オタクというのは、常に「お祭り」のような盛り上がりを求めるので、オタクアクセルを全開しがちだ。しかし、そういう走り方をしていると、あとから来る疲労が大きい。楽しめる作品がないと思ったら、自分の趣味に合うような作品が出るまで、活動を縮小するというブレーキが必要だろう。それがオタクを長く続けるコツなんだと思う。
 え? オタクをやめたいって? それは、テレビ東京が入らなくて、雑誌の発売日が何日も遅れるような地方に行くしかないんじゃ? 待てよ、情報に飢えてしまって、逆に今よりオタク化が進んじゃうかも……。

掲載=カラフルPUREGIRL 1999年11月号(ビブロス刊)

■コメント
『どこでもいっしょ』のブームを見て書いたもの。今だとネットゲームでしょう。もちろんこの当時も『Diablo』や『Ultima Online』はありましたが。
[Profile]
夏コミでの『どこでもいっしょ』普及率にびっくり。自分もやりたかったんだけど、ポケステが見つからなくて、できなかったのでした。最近しりとりを毎日やってます。でも、はたして冬コミまでみんなやっているのかどうか……。11月のイベントでも微妙そう。
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