会議や授業のように人の話を長時間聞くような状態というのは、どうしても暇になる。暇になって、手を持て余すとなんとなく絵を描かない? と、あび子あび夫に言ったら「そんなのは変態の加野瀬さんだけ」と言われ、絵描きでない人間にこの気持ちはわからない事を知った。『雫』の主人公も授業中に爆弾を描いていたというのに!
中高生の頃に、絵を描いていたら、他人に「なんで人間の絵を描くの?」と不思議がられてしまった時を思い出してしまった。一般人(男)というのは、どうも人間の絵を描くと、現実にモデルがあるものでないと納得しないらしいのだ。だから、似顔絵や有名な漫画・アニメの模写ならウケも取れるのだが、モデルのいない人間の顔を描くと上記のように不思議がられてしまうという訳だ。
それに比べると、女性は、人間の絵を描く文化が発達している。小学生の頃、女子は、皆少女漫画ライクな絵を描いていたりする。総じて、女性には絵が上手い人が多いが、このように昔から絵を描いている人が多いからだと思う。
で、人が絵を描き始めた初期というのは、いろいろなところに絵を描く。授業中、机の上に落描きをした人も多いだろう。その落描きが縁で、見知らぬ女の子と会話を始めて……なーんてBoys Beライク(今ならSALAD DAYSライクか)なシチュエーションになった人もいるそうだが、ともあれ、机の上の落書きというのは多い。勢いで、超力作を描いてしまったが、いかんせん机の上なので、掃除によって消されてしまうという悲しい思いをした人もいるハズ。また、ノートも落描きの宝庫だ。他人にノートコピーを頼まれて、絵を描いている事がバレたり、ノート提出科目だったので焦って消したり……。
TRPGのキャラシートに絵が必要なんで、それでよく人間の絵を描いていたという人もいるだろう。でも、これだと顔だけ上手くなって……という罠もある。ゲームセンターのコミュニケーションノートで絵に開眼する人……というのもよく聞く。
TRPGやゲーセンノートという場は、趣味が似ている人間が集まっているので、学校のように「絵を描いている」ことそのものをとやかく言われる訳ではなく、あくまで絵としての評価が下されやすい。そこで、自分の絵の位置というのを認識するのだ。そして、自分の絵が他人に誉められたりすると、当然調子に乗ってたくさん描き始める。ついには同人誌活動などに目覚める……。
現在、そのような場として急速に機能しているのがWWWだ。昔と違って、今はそういう風にオタクを受け入れられる場所が増えてよかったね〜と思う今日この頃である。
掲載=PUREGIRL 10(1999年1月)号(ジャパン・ミックス刊)