オタク定点観測 1998/12
[第9回]−絵柄の生まれる場所

 今回は、漫画絵の絵柄が生まれる場所を検証していこう。漫画絵というのは、文字通り、漫画の世界で一般的なデフォルメ絵の事を指している。漫画絵の絵柄の進化において、漫画以外の影響は大きい。
 まず、最初に外部から入ってきた新しい流れは、アニメである。俗にいう《アニメ絵》の萌芽は、高橋留美子や細野不二彦などのサンデー作家にあると思われる。そして、『うる星やつら』のアニメで作監のもりやまゆうじや土器手司などが、『さすがの猿飛』で作監のいのまたむつみなどが、オリジナルキャラをアレンジしてよ、り魅力的に描き出していた。この頃、「女の子をアニメ絵でかわいく描く」という文化が確立され、瞬く間に普及していく。
 次に台頭してきたのが、ゲーム業界出身の絵柄だ。女の子をアニメ絵でかわいく描くという文化は、ゲームにおいてギャルゲーの登場に繋がった。ギャルゲー元祖である『プリンセスメーカー』はガイナックスというアニメ会社にいた赤井孝美の手によって生まれ、マッドハウスの実力派アニメーターであった竹井正樹は、『卒業』でブレイクし、現在も人気作家の一人となっている。最近では、『センチメンタルグラフェイティ』の甲斐智久や、『Piaキャロ』の甘露樹、みつみ美里などに人気が集まっている。
 また、格闘ゲームのイラストも絵柄の流れに多大な影響を与えた。特に、カプコンの格闘ゲームのイラストを担当していたカプコンデザインチームは、アメコミの筋肉描写を日本風に消化したイラストで、多数の絵描きにショックを与えた。また、『豪血寺一族』という格闘ゲームは、村田蓮爾という才能を世に知らしめ、フレンチコミック感覚に溢れたイラストが流行することとなった。
 最近の流れを見ると、甲斐智久や村田蓮爾のように、同人誌で既に活躍していて、知る人ぞ知るという存在の人達が、ゲームで露出して、ブレイクするという形が多い。漫画では、人目に触れるのは掲載雑誌だけだが、ゲームの場合、ゲーム雑誌の記事で多数露出する。最近では『トライガン』のアニメ化以降のブレイクぶりを見れば、漫画の人気というのが、いかに掲載雑誌の知名度に左右されるものか、わかるだろう。『トライガン』の場合、アニメが強力な宣伝になった訳だ。
 このように、最近のゲームというのは、絵柄を普及させる強力な媒体となっている。この前、幕張メッセで開催されたゲームショ−でも、気になるゲームが何本かあった。そのゲームの絵を描いている人達は、既にどこかで活躍している人達が多かったが、そこから次の新しい絵柄が普及するのかも?(敬称略)

掲載=PUREGIRL 9(1998年12月)号(ジャパン・ミックス刊)

■コメント
 2002年現在は、WEBで絵柄が生まれて、ゲームで普及しているという感じでしょうか。重要なのは、アニメから絵柄が生まれていた時代はモノクロで絵柄が完結していたけど(輪郭線のみの設定画ですべてが表現できた)、今は色塗りも含めて「絵柄」になっている点です。絵を発表する手段が、ファンロードなどの投稿雑誌や同人誌ぐらいでモノクロ主体だった時代とことなり、WEBが普及して、カラーが基本になってきたからでしょう。昔はカラーが苦手な絵描きさんが多かったですが、今はモノクロが苦手な人が多くなってきました。
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この前、G2Oの打ち上げに行ったら、妙なところで繋がる人が多くてびっくりしました。高橋良輔信者な自分は毎週の『ガサラキ』が楽しみです。訳が分からないという声も多いけど、メカ描写だけでご飯三杯はイケます。
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