オタク定点観測 1998/04
[第1回]−世代でオタククリエイターを見てみよう

 最近のオタク文化の一般文化への浸透は目を見張るものがある。しかし、一口にオタク文化と言っても皆同じではなく、オタク業界の歴史の長さから、すでに世代が発生しているのだ。今回は、オタク世代のクリエイターを更に細かく世代で分類してみよう。
・第一世代:いのまたむつみ氏、美樹本晴彦氏などのアニメ出身の人たち。徳間書店のモーションコミック世代といえよう。
・第二世代:伊東岳彦氏や菊池通隆氏、萩原一至氏などアニメと漫画の両方で活躍している人たち。
・第三世代:同人誌やマイナー雑誌などでカルト人気を持つ人たち。
 この世代の差を顕著に感じるのがゲーム業界だ。80年代のアニメを見て育った世代が、作り手の中心となっているゲーム業界では、第一世代の人を使う事が多い。『クォヴァディス』シリーズで美樹本晴彦氏を積極的に使った今は亡きグラムス、いのまたむつみ氏の『テイルズオブディスティニー』、出渕裕氏の『ベルデセルバ戦記』、永野護氏にゲーム制作まで関わってもらった『エアーズアドベンチャー』、高田明美氏の『ミサの魔法物語』など、例を挙げるとキリがない。きわめつけは某ゲーム会社のフルCG映画だろう。金田伊功氏や山下将仁氏、上妻晋作氏など、往年の金田アクションの担い手たちをハワイのスタジオにスカウト、CGのモーションづけをやってもらうというのだ。
 特にナムコの『テイルズオブファンタジア』のキャラクターデザインはSFC版では藤島康介氏だったのが、続編のPS版では、いのまたむつみ氏になった辺り、キャラデザイン決定権を持ったスタッフの高齢化を感じさせる。
 また、下の世代ではオタク文化の流れを知らない人間も増えている。端的な例を挙げよう。かねこしんや氏のWWW掲示板で、『パンツァーバンディット』のいづなよしつね氏の絵を見て、「かねこさんに似ている絵を発見しました」と書いている人がいたのだ。かねこしんや氏はいづなよしつね氏の絵に影響を受けたと公言しているが、その書き込みをした人は、あのような絵柄はかねこ氏がオリジナルだと思っていた訳である。
 このように世代間の断絶も始まっているのだから、オタク向けのブツを作る時に、第一世代や第二世代の作家からネームバリューだけで人を選ぶと、ひどい目にあう事がある。作り手の皆さん、人選には細心の注意を払いましょうね。

掲載=PUREGIRL 1998年4月号(ジャパン・ミックス刊)

■コメント
 もともとWEBでいろいろ書いていたので、PUREGIRLの誌面上でも好きな事を書く場所が欲しかったので、コラムにコーナーを作りました。この頃は、書きたい事がいろいろあったので、ネタに困りませんでしたね。タイトルの由来は第3回目で書いてます。編集長が書いているからPUREGIRLの社説だとか天声人語だとか言われたりもしました。なお、このPUREGIRLは毎月28日に発売されてまして、4月号が出たのは2月28日で、実際に執筆していたのは2月ぐらいです。なので時期ネタは日付の2ヶ月前として考えてください。
 この世代分けですが、時代の経過によって、新しい世代が出てきました。WEB出身のイラストレーターが第四世代です。最近では第一世代を「アールビバンで絵を描く人」と定義しております。
[Profile]
ゲームやパソコン方面の出版社を渡り歩き、現在、ゲームや漫画関係のライターとしてへろへろ活躍中。最近はヤングサンデーの『ワールドイズマイン』がお気に入り。
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