ガンダムワールドでは、裏切ったり、スパイをするのは、なぜか女性が多い。自分は、『Zガンダム』のエマ・シーンというキャラが好きだったが、彼女もティターンズからエウーゴに寝返った女性だ。エマは、凶悪にスカートが短いエウーゴの緑の制服の印象が強いが、黒のティターンズスタイルも忘れられない。
エマのように、敵組織から味方組織に移った人間というと、ジオン・ズム・ダイクンの娘ながら連邦軍に入った初代のセイラ・マスがいる。だが、エマからは、セイラのように信念を感じなかった。彼女は、何か信じる道があってティターンズという組織に入ったようには思えない。バスクのやり方に疑問を持つような人だったから、ティターンズには、あくまで連邦軍の中のエリート組織として入ったのだろう。そして、レコア・ロンドのように誰かを信じて裏切った訳ではない。ティターンズとエウーゴを比べた時、エウーゴの方がマシだから、という消極的な選択だったのだろう。
そんなエマを見ていると、学級委員をやっていた真面目な女の子を思い出させる。優等生である彼女は、当然成績もいいので、一流大学に行く。そして、一流会社に入り、総合職のOLという出世コースにのる。しかし、生来の器用貧乏が祟って、イマイチ目立たない。そんな時、会社内で行われていた不正行為を知ってしまい、その頃気になっていたベンチャー企業に転職してしまう……。そんな妄想をしたくなるキャラをエマは持っている。
ガンダムシリーズではないが、『Zガンダム』の前に放映していた『ダンバイン』『エルガイム』では、主人公が乗っていたメカを操縦する女性はヒロイン、というようなパターンがあった。エマも、そのパターンを踏襲していて、最初から最後まで登場しているのにもかかわらず、どうにも影が薄い。ヒロインのように見えて、ヒロインになれなかったのだ。ドラマ的に見れば、ちっとも魅力的でない立場である。しかし、Zを見ていたのは、自分にあまり信念がない年代。その上、真面目さぐらいしか取り柄がなかった。ただ、エマのように優等生ではなかったが。そのため、エマに共感してしまったのだ。そして、自分もエマのような人生を送ってしまうのではないか?という恐怖も感じて……。
掲載=G2O Vol.2(アスキー刊)