Kindleで復刊した『ナチュン』はスケールが大きいSF漫画だった : ARTIFACT ―人工事実―
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 『ナチュン』は1巻刊行当初、書評で興味を持って、1巻を買って読んだものの、1話から想像されるようなSF的展開がなく、2巻も同様の展開だったため、続刊を買わなかった。
 天才的数学者が事故のため、脳を左半分なくしてしまい、言語能力がなくなってしまったが、イルカの生態を記録しただけの映像を数学の論文として提出、学会では理解されなかったが、とある大学院生がその映像の論文としての価値を発見、理解の手がかりとして、イルカの生態を観察するために沖縄を放浪するというのが第1話だったのだ。しかし、この謎の部分というのは1話以降、置いてきぼりにされ、大学院生の沖縄での生活に描写が費やされる。この沖縄の描写自体は退屈ではなく、充分優れているのだが、SFというのには少々離れたものだった。そのため、先が見えないなーと思ったのだ。
 でも、そういえば完結したんだよなーいつか読もうと思っていたら、5,6巻は発行部数が少なかったからか、当然のように新刊はなく、中古も微妙なプレミアがついていて、保留していた。
『ナチュン』1巻を読んだけど評価に困る - ARTIFACT@ハテナ系[↑B]
短評2007年下半期[↑B]
 紙屋研究所の紙屋高雪氏も、2巻まで読んで、評価に困っていた。自分の記事へのリンクがあるのを知らなかった。
おすすめマンガ時評『此れ読まずにナニを読む?』 第5回 『ナチュン』 都留泰作 (講談社・アフタヌーン) NTT出版Webマガジン -Web nttpub-[↑B]
この伊藤剛氏のコラムも2巻まででの評。

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 ところが、AmazonのKindleのページを見ていたら、『ナチュン』がKindleで出たのを知って、ちょうどコミックポイント還元セールをやっているのもあり(※このセールは6月6日までかも)、全巻買って読んでみたのだが、これが1話を読んだ時に想像したようなスケールの大きいSFの話になっていて大変面白かった。
 沖縄の話は2巻までで、3巻以降は怒濤の展開、巻によって話のテイストがかなり違う。最終的にカトリック教会が絡み、神の実在、神とは何かという話になる。数学者の考えた理論なんで、数学に詳しかったら、もっと面白いんだろうなーと思いつつ、詳しくない身でも、充分楽しめた。

 なぜ、今頃電子書籍化されたかというと、HONZが最近始めたマンガHONZで紹介するために復刊されたそうだ。漫画は絶版が早いので、絶版になってしまった名作の復刻を電子書籍でするというのは嬉しい動きだ。
マンガHONZのレビューで、一番買われたマンガは何だ!? 『買われたマンガランキング 2-4月』 - マンガHONZ[↑B]

さらには、マンガHONZで紹介することが決まったために、急きょ電子書籍として復刊されることになったのである。まさか2位をとるほどに売れるとは誰も思わなかっただろうが、驚きの展開だ。絶版になっていたおもしろいマンガを、レビュアーの想いですくい上げた、理想的なレビュー(と展開)であった。

定例会レポート 〜第1話 マンガHONZ夜会のはじまり〜 - マンガHONZ[↑B]

熱いバトルが展開されていたのは、マンガ紹介だけではない。
途中、苅田明史の選んだレビュー予定本がおもしろそうだったため、堀江貴文がスマートフォンからネットで本を買いはじめた。絶版本だったため最低価格の中古本を注文していたのだが、購入完了の直前で、タッチの差で別の人に買われてしまう。どうやら、その場にいた別の読み手が先に買ってしまったのだという。嘆く、堀江貴文。絶版本なので、次に低い中古価格はけっこう高いのだ。

 これが『ナチュン』だろう。
沖縄の海を舞台にした大人向けSF『ナチュン』 - マンガHONZ[↑B]
 この記事は「大人向けSF」というちょっと不思議なフレーズに注目が集まり過ぎてしまっているが。
 完結したあと、これを読めばばっちり!みたいな評がないようなので、ぜひとも『ナチュン』大好きな人に書いて欲しいものだ。


 久保ミツロウ氏も絶賛!  都留泰作氏の女性の身体の描き方にはこだわりを感じる。

※感想リンク
4巻までの感想。
漫画メモ - 都留泰作「ナチュン(3)」[↑B]
「ナチュン」1〜4(都留 泰作):May I ask? Please ask me.:So-netブログ[↑B]
ときおりのこのみ 「ナチュン」4巻、第1部完! ・・・て言われると不安だったけど[↑B]

完結してからの感想。
海洋SF「ナチュン」堂々完結!: こんなんばっかり[↑B]

ナチュンの感想 - 幻想第一[↑B]
「ゲンさん」のモデルがいるという情報を知ってびっくりした。


これまでのコメント

  1. 甕星亭主人 より:

    ナチュンは、途中の方向を迷った様な展開、そもそもSF大法螺としても説得性の乏しい「学説」に結構うんざりさせられた物の、最後のカタストロフ迄、実に読ませる力の篭った作品で、だからアフタ切抜きを全巻捨てずに残してます。 但し数学的リテラシーが有る方なら結構嫌気が差して壁投げ漫画に成るかな?

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1997年から運営している個人サイト。2002年にブログ化。オタクネタを中心で書いていたが、最近はウェブサービスの話題が多い。
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