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インターネットの普及によるミーハー・薄い人の可視化と「オタクはやめられない」という幻想が「オタク世代論」を加速させる

add to hatena hatena.comment 95 users add to del.icio.us 7 users add to livedoor.clip 10 users [オタク] 2007/3/22(木) AM12:00

 今メディアやネット上で発言しているようなオタク第一世代、第二世代の人たちのおかげで、つい忘れられがちだが、その影には、過去にオタクをやめたり、オタクというほどかつての趣味に熱中してない人たちがいっぱいいる。現在積極的に発言している人たちは、そうした選別をくぐり抜けてきたオタクエリートであり、歴戦の勇者だ。
 漫画『げんしけん』で斑目が「オタクはなりたくてなったものじゃないからやめたくてもやめられない」と言っているが、これは立派な誤解である。ある程度オタクをやっている人なら、まわりがどんどんオタク趣味から離れていく経験はあるはず。おそらく作者はわかって斑目にこう言わせているのだろう。「やめられない」という幻想こそが、オタクを続けることに必要であり、人間の関心が変わらないことはないのに変わらないかのように思わせておくことが、オタク業界には重要なのだと。

 「オタクがやめられない」というイデオロギーから、オタク第一世代、第二世代も当時から構成は変わっていない、という誤解が発生する。そんな訳はない。昔から、ミーハーな人やオタクとして薄い人という人たちは存在していた。しかし、かつてはそうした人たちの声が、多数の人に届くことはなかった。雑誌の投稿欄はフィルタリングされるし、ファンジンやパソコン通信などで語る人たちは論客ばかりだった。インターネットの普及初期も似た状況だった。しかし、インターネットが普及するにつれ、ミーハーといわれていた人たちの声が可視化されていった。そのため、今のオタクにはミーハーが多いと見えてしまう。もはや、検証することは不可能だが、昔でも一定の比率でミーハーな人たちがいて、その比率は現在も変わらないかもしれないのだ。

 自分が考えているオタク世代論としては、主に接してきたメディアの差から生まれる世代論があると考えている。昭和20年生まれのプレオタク世代は漫画、オタク第一世代はアニメ、オタク第二世代はゲーム、オタク第三世代は(インター)ネット。
 たとえば、自分の場合、漫画やアニメは物心ついた頃にはすでにある存在だった。しかし、ゲームはその誕生から見ており、進化の過程を体験してきた。こうしたメディアの進化の過程を体験しているか否か、そのメディアが既に当然の存在となっていたか、というのは大きな違いを生む。
 しかし、オタク的に物事を追求することなどを指す「濃い/薄い」というのは、世代論ではなく、「オタクとして何年続けてきたか」が生む差ではないだろうか。具体的にいえば、アニメのエンディングのスタッフリストを意識して見るようになってから、20年経っている人間と、2年経っている人間は、アニメを見る視点は違うだろう。20年経っている人間でも、2年経っている頃は同じような視点だったかもしれない。だが、こうしたことは忘れられ、結果的に世代が差を生むという認識になってしまう。

モノーキー 若い世代にも優れたオタクがいるのに、古いオタクからミーハーばかりだといわれる理由

古いオタが今のオタはバカばかりって言うのは『俺らの事を尊敬しろ』っていう遠まわしの叫びというありがちな結論に落ち着きました。
でも、若い人は尊敬はしないけど、古いオタの知識だけとっていくと思う。
おいしいところだけ食べたい世代なので。

 何を当たり前のことを言ってるんですか! 年上を敬うのは当然です! 我を尊敬せよ!
 と冗談はさておき、自分の場合、知識を継承しようと努力している年上のオタクの人は尊敬している。そういう努力もなしに単に「若い奴らは…」と言っている人は軽蔑する。

日日ノ日キ - ぼくらはなぜまなびストレート!を語るのか

で、こういうことが起きるのは…
 オタクエリートと自認する人たちがちゃんと語ってこなかった。
 に集約される。これを機会に、読み応えがあり、熱のこもったあれやこれやをちゃんと今の時代の言葉で書いておいて欲しい。世代論になってくるからこういうのは一生つきまとうわけで、これよりあれがすぐれていてそれでもあれがどうでこうでなんて実は言っていても仕方がないのだ。今だからできることをすべきである。

 これまでの過去に様々な語りがあるけど、そうした語りにはもはや簡単にアクセスできない。しかし、インターネット、そしてブログのおかげで、アーカイブを残す労力は格段に下がった。
 たとえば、氷川竜介氏(ブログ)は自分のサイトで過去の原稿のアーカイブを設置している。
氷川竜介評論集
 最近では、元アニメックの小牧氏がアニメック創刊の頃の回顧録をブログで書いている。これを読むと、当時のファンジンと商業雑誌の近さなどがよくわかる。
アニメックの頃・・・

 過去の原稿などにアクセスできても、当時の文脈などがわからない人には、わかりにくいのもあるだろう。そうした部分をわかりやすくするための努力も必要である。しかし、過去の原稿を書いた人にそうした努力までも求めるのは酷だろう。先人がこうして公開してくれた原稿を元に、他の人が当時の文脈などを含めて、解説していってもいい。そうした共同作業がどんどん広まると嬉しいなあ。

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コメント:7個

  1. 投稿者:hizzz / 投稿日:2007/3/22(木):

    ‘60年代プレオタク(コレクター):映画/SF/鉄道/切手/軍事、’70年代オタク第一:漫画/怪獣特撮/ロック、’80年代第二:アニメ/アイドル/ポップス、’90年代第三:ゲーム、’90年代後期第四:ネットという感じで新しいサブカル媒体がオタクに加わっていったという実感がありますよ。オタクをビジュアル・マス媒体中心の趣向者と限定するのも’80年代オタク『動ポモ』以降の傾向かと。

  2. 投稿者:加野瀬 / 投稿日:2007/3/22(木):

    オタクをビジュアル・マス媒体中心の趣向者と限定したのは、岡田斗司夫氏の『オタク学入門』ではないかと。コレクターとオタクをわけるために、そのような切り分けが必要だったんだろうと考えてます。

  3. 投稿者:hizzz / 投稿日:2007/3/22(木):

    岡田斗司夫は、『動ポモ』的アニオタ観にない’70年代オタク的著述を沢山しておりますし、話題となった「オタク is Dead」はまさに初期オタク的エッセンスの欠落を嘆くそれそのものではないでしょうか。
    後、オタクに封摂しているミーハー率ですが、脱落がまったく居ない訳ではないですが、ハナからオタクになれない層というのがあったのです。そもそも60〜70年代は圧倒的な階級による文化資本格差が社会に厳然と存在しており、一億総中流の消費媒体をみんなで享受したのは80年代以降なのでは。貧乏/金持ち関係ないミーハー的行動と個人消費の自己裁量権の機会拡大&社会的容認とは相関関係にあるのではないでしょうか。

  4. 投稿者:metanest / 投稿日:2007/3/22(木):

    hizzz さん。岡田氏の語りや著書において、氏の、いわゆる「オタク語り」的なあれこれには 70 年代的描出が見られることは確かです。しかし、80 年代からあった、幅広いおたく観(別冊宝島『おたくの本』や映画『七人のおたく』あたりが参考資料としては挙げられるでしょうか)をぶった斬り、オタクの定義として、「進化した視覚を持つ人間」「高性能のレファレンス能力を持つ人間」(太田出版版 p. 10, p. 28)と提示したのが『オタク学入門』(1996)であることもまた確かで、以降のフォロワー(たとえば、おた佐々著『フッ完全おたくマニュアル』等)に引き継がれる等の影響を残しており、むしろこれらに(過剰に)影響を受けた世代を受けて、動ポ(2001)があるのではないでしょうか

  5. 投稿者:hizzz / 投稿日:2007/3/23(金):

    metanestさん、成る程、たしかにそういう側面はありますね。その同じ90年代にオタク地位向上を狙ってオタクとサブカルミーハー君の「出逢い」を盛んに仕掛けたり『オタク学入門』『東大オタク学講座』=東大生オタク化計画というネタでは、表オタ:ゲーム/アニメに対して、闇オタとして90年代にも活発だったUFOカルト心霊/擬似科学/やおい/軍事/陰謀論などの諸種も一緒に挙げられているのですけどね(てゆーか、この諸種こそがゲーム&アニメのネタ元だったりするので、オタク語りには不可分の要素)。以降のフォロワーが、そうしたバックボーンな系統ルーツ把握よりも、パーツの感覚的語りに向かったということかもしれませんね。

  6. 投稿者:hizzz / 投稿日:2007/3/23(金):

    追加。ゲーム&アニメ以外と上記した諸種を切り分けしようとした作為は、なによりも95年のオウム事件の影響によるところが大でしょう。

  7. 投稿者:1026 / 投稿日:2007/3/25(日):

    この説は過去オタクエリートと現在のオタクエリートの
    集団同士の比較を行って、その濃さを比較すれば証明出来るのかな?
    コミケサークルや漫研、リンク先にあったローディストとか。
    (メディアの差や着目点は異なるだろうから、単純な比較は難しいけど。)

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